こんにちは! LL DESIGN JOURNAL編集部のLinaです。
今回はファーストクラスの方に必要な経営スキル「ポイント2:マーケティング」についてお伝えしていきます。
下記の記事で「商品=あなた」とお伝えしましたよね。 それを踏まえた上で次に必要なのは「あなたがどうやったら売れるのかを調べる」という市場調査です。
いきなり商品を作るのではなくて、まずは下調べとして「今世の中にはどんなものが求められているのか?」を知ることが必要なの。
その市場調査をオーソドックスなマーケティングフレームに沿って調べていきます。
6つの基本マーケティングフレーム
各フレームの詳細はいろんな書籍や記事がたくさん出てるので、ここではざっくり概要だけお伝えしますね。
PEST分析
4つの指標を使って外部環境を理解するために使う分析方法
P:Political(政治)
国のルールや法律のこと。新しい法律ができたり政策の方向性が変更されると、ビジネスをどう展開するかに影響する。
E:Economic(経済)
金の流れや働く人のこと。人の支払い能力によって商品の売上、つまり企業の業績が変化する。
S:Social(社会)
人々の考え方や生活環境のこと。例えば、シンプルで使いやすいデザインが流行る時期があれば、派手で目を引くデザインが流行る時期もある。こういうトレンドは、商品やサービスのデザインに、そして消費者の購買行動にも影響する。
T:Technological(技術)
新しい機械やサービス、ツールのこと。技術が進むと企業は新しい方法で商品を作ったり、もっと便利に商品を販売できるが、その反面古い手法が使えなくなることもある。
5F分析
企業がどのように競争するか、どうすれば上手くいくかを考えるために使う分析方法
競争者の脅威
他の企業がどのようにあなたの会社と競争しているかを見ること。 競争者が多い場合、企業は商品やサービスの品質をより良くしないと負けてしまう。
新規参入者の脅威
新しい企業が入りにくい市場では、既存の会社は安定してビジネスができる。 逆に新しい企業が市場に入りやすい場合、競争が激しくなる。
代替品の脅威
会社の商品やサービスと似ているものの、実際は別の会社の商品のこと。 代替品が多い場合、お客様があなた以外の商品を選ぶ可能性も増える。
買い手の力
お客様がどれだけ強い影響力を持っているかを見ること。 お客様が多く選択肢も多い場合、価格を下げたり、品質を上げたりする必要性が高くなる。
売り手の力
企業が材料やサービスを買うときの、その売り手の影響力のこと。 売り手が少ないと材料の価格、つまり経費が高くなる。
SWOT分析
企業の強みや弱み、チャンスや脅威を把握するのに使う分析方法
S:Strengths(強み)
企業の強み。すごく良い商品を持っているか、優秀な人材がたくさんいるかなど。
W:Weaknesses(弱み)
企業の弱み、改善が必要なところ。商品の品質が良くなかったり、資金面が不足しているなど。
O:Opportunities(チャンス)
企業が利用できる良い機会のこと。新しい市場に入る、新しい技術を使うチャンスなど。
T:Threats(脅威)
企業にとっての問題や危険。競争が激しいことや、法律の変更など。
3C
市場と競合の分析から成功要因を見つけ出し、自社の戦略に活かす分析
C:Customer(顧客)
「お客様」のこと。 企業はお客様のニーズを知るために「何を欲しいか」「どんなものを買いたいか」等を知る必要がある。
例)使いやすいアプリ、魅力的なデザイン、効率的なクラウドサービス
C:Company(会社)
「自分たちの会社」のこと。 自分たちの強みとなる部分は何なのか、何が得意か、どんな良い商品やサービスが提供できるかを考える。
例)革新的なソフトウェア開発、ユーザー体験に優れたデザイン、高度なセキュリティ機能、独自の技術革新
C:Competitor(競争相手)
「他の会社」のこと。 競争相手にどう勝つかを考えるために他の会社が何をしているか、どんな商品やサービスを提供しているかを知る必要がある。
例)競合他社が提供する類似のアプリやサービス、マーケティング戦略、価格設定
STP分析
企業がどのターゲットに商品やサービスを届けるのが適切なのかを分析する方法
S:Segmentation(セグメンテーション)
「市場の分け方」のこと。
例)ゲーム好きな若者向けの市場、仕事で高性能PCを必要とするビジネスマン向けの市場、デザインが重視されるファッション業界向けの市場
T:Targeting(ターゲティング)
「どのグループに焦点を当てるか」のこと。 企業は市場にあるグループの中から特に注目すべきグループを選ぶことで、よりお客様に合った商品を作ったり、広告を出したりできる。
例)スマートホーム製品に興味がある家庭向けの市場、最新のデザインソフトを求めるデザイナー向けの市場
P:Positioning(ポジショニング)
「商品の位置付け」のこと。 選んだグループのお客様に自分たちの商品特徴や商品価値を伝えることで、お客様はその商品を選ぶ理由がわかり購買に繋がる。
例)使いやすいデザインツール、効率的なデータ管理ソフト
4P
商品やサービスの販売計画を立てるときに考える基本的な概念
商品(Product)
「売るもの」のこと。商品がどんな特徴を持っているか、どう便利かを考えることが大切。
例)新しいSP、使いやすいデザインのアプリ
価格(Price)
「商品の値段」のこと。価格をどう設定するかは、お客様が商品を買うかどうかに大きく影響する。
例)サービスやソフトの購入費用、アプリの購入費用
場所(Place)
「商品をどこで売るか」のこと。商品を簡単に見つけられるようにすることが重要。
例)ネット上のストアやアプリ、実際の店舗
プロモーション(Promotion)
「商品を宣伝する方法」のこと。宣伝効果が高いと認知度が高くなる。
例)ネット広告、SNSキャンペーン、割引クーポン
すごいたくさんあって混乱しそう…
全てを一度にやる必要はないし、そもそも世の中は移り変わるものだからその都度1つ1つ考えれば大丈夫だよ
ざっくりと概要をお伝えしましたがこれだけだと「どうやって使うの?」となりますよね。 これを使うには、今お伝えした分析の中にある「商品」「企業」というものを「あなた」に置き換えて考える必要があります。
ということで、次の項目ではこれらの分析を「フリーランスになりたい人ってこんな感じ」 という例を挙げながらどのような内容になるのかをお伝えしていきます。
実際に分析してみよう!
例1:法人向けフリーランスAさん
まず最初に、法人向けフリーランスになりたいAさんを例に考えます。
<Aさんの特徴>
今後の希望:職種、業種は今と変わらずに、会社員ではなくフリーランスとして働きたい。具体的には、どこかの企業の業務委託契約して週5勤務を希望。
職種 | web制作会社のデザイナー&コーダー |
---|---|
年数 | 5年目 |
年収 | 500万円前後(月収約30万+ボーナス) |
今の業務内容 | 企業のコーポレートサイト、LP、広告バナーなどwebデザイン。業種は飲食・アパレル・自動車・化粧品など様々 |
得意ジャンル | ユニセックスで売り重視というより世界観重視のセンスがいいデザイン |
苦手ジャンル | 情報が詰め込まれている、マーケティングを考慮した売り重視のデザイン |
マネジメントの経験 | なし |
新人・後輩の育成経験 | あり |
デザイン以外のスキル | なし |
AIを利用したフレームワーク
以前までは自分であれこれ考えてフレームに当て嵌める必要がありましたが、今はその必要もありません。今回はChatGPTを利用してやってみましょう。
ChatGPTのやり方、プロンプトのコツなどは後日別記事にまとめる予定です!
必要なプロンプトを打ち込んで、出力した結果がコチラです。(ChatGPTの答えそのままだと固い言葉が多くわかりづらかったので、もう少し噛み砕いてまとめています)
※Aさんの顧客は法人であり商品は「自分が制作をすること」と限られているため4Pはありません。
これらの分析をまとめると、Aさんがやることは以下の5つにまとめられました。
1)セルフブランディング
あなたのデザインスタイル(個性)を強調したポートフォリオを作る。これにより、あなたのターゲットとなる顧客層にアプローチすることができる。
- ポートフォリオの作成:専用サイトを立ち上げ、あなたのデザイン作品を展示する
- ブランドストーリーの開発:あなたのデザイン哲学や経歴、特徴的なプロジェクトを紹介するストーリーを作成する
- VIの確立:ロゴ、カラースキーム、タイポグラフィなど、あなたのブランドを象徴するビジュアル要素をデザインする
2)人脈の拡大
業界イベントやオンラインコミュニティに参加し、潜在的なクライアントや同業者とのネットワークを拡大、人脈を増やす。
- 業界イベントへの参加:デザイン関連のイベントやミートアップに参加して、業界のプロと交流する。
- オンラインコミュニティへの参加:LinkedIn、Behance、Dribbbleなどのプロフェッショナルネットワークに参加する
- リファラルプログラムの開始:既存のクライアントに対して、新規顧客を紹介してもらうためのインセンティブプログラムを作成する
3)スキルアップ
最新の技術やデザイントレンドを学び続けることで、競争力を維持する。また、苦手なマーケティング関連の知識も勉強すると◎。
- オンラインコースの受講:UdemyやCourseraで最新技術やマーケティングコースを受講する
- セミナーやワークショップへの参加:デザインやビジネス関連のセミナーやワークショップに参加して知識を深める
- 業界のニュースとトレンドの追跡:オンラインメディアや業界誌を定期的に読み、最新のトレンドや技術を学ぶ
4)収入源を増やす
フリーランスとしての収入の不安定さに対処するため、複数のクライアントや業務委託契約を確保する。 また、サイドプロジェクトや教育関連の活動も検討すると◎。
- 長期契約の獲得:安定した収入のために、企業との長期業務委託契約を目指す
- サイドプロジェクトの開始:自身のデザイン商品をオンラインで販売するなど、本案件以外の商品を作る
- 教育コンテンツの提供:デザインに関するオンラインコースやワークショップを提供する
5)発信力の強化
SNSやプラットフォーム上で発信を強化し、ターゲット市場に向けたマーケティング戦略を実施する。
- SNS:InstagramやTwitterを活用して、作品やプロセスを定期的に共有する
- ブログ:デザイン手法やプロジェクトの背景についてブログ記事を書き、専門知識を共有する
- メルマガ:ニュースレターを通じて最新の作品やサービスを紹介し、顧客との関係を構築する
ChatGPTで誰でもキャリアの方向性がわかる
どうでしょうか。これで売れるメソッドは分かったので、優先順位をつけてそれぞれ実行していけばいいんです。
すごい…!誰かのコンサルを受けたみたい…
計画の立て方、つまり①〜⑤をどの期間でどうやるのかはその人の状況(今までの経歴、使える時間など)によって違うので一概に正解は言えません。
ただ少なくとも、ChatGPTを使えばマーケティングに詳しくない人でも「どうすれば売れるのか」がわかるようになります。
例2:個人向けフリーランスBさん
次に、個人向けフリーランスになりたいBさんを例に考えます。
<Bさんの特徴>
今後の希望:職種、業種は今と変わらずに年収を増やしたい。具体的には、デザインの単価を上げる方法と、「自分が制作以外の商品を作りたい。
職種 | フリーランスのデザイナー |
---|---|
年数 | 2年目 |
年収 | 360万円前後(月収約30万) |
今の業務内容 | 個人事業主向けにwebサイト、LP、SNS投稿バナーなどのwebデザイン。業種はエステサロン・ネイルサロン、メイクやファッション系の講師など女性向けが多い |
得意ジャンル | おしゃれで可愛い、女性らしいフェミニンなデザイン |
苦手ジャンル | かっこいい、クールな男性向けのデザイン。「売れる」「クリック数が増える」というマーケティングを考慮したデザイン |
マネジメントの経験 | なし |
新人・後輩の育成経験 | なし |
デザイン以外のスキル | なし |
AIを利用したフレームワーク2
Aさんと同じくChatGPTを使用し、出力結果をまとめたものがこちらです。
これらの分析をまとめると、Bさんがやることも以下の5つにまとめられました。
1)スキルアップ
フェミニンなデザイン以外にも、男性向けやマーケティングを考慮したデザインスキルの拡充が必要。 オンライン講座やワークショップを通じて新しいデザイン技法を学び、サービスの範囲を広げる。
- オンライン講座の受講:CourseraやUdemyで提供されるUX/UIデザイン、マーケティング重視のデザインコース
- 実践的ワークショップやセミナー:地元のデザインスクールや業界イベントに参加する
- 競合他社の分析:他の成功しているデザイナーの作品を研究し、異なるスタイルや技法を学ぶ
2)セルフブランディング
特定のデザインスタイルで市場で有名になることで、顧客の信頼とロイヤリティを高めることができる。 SNSやウェブサイトを通じて、あなたのスタイルとビジョンを積極的に発信しよう。
- ポートフォリオサイトの強化:個性的なデザインの展示
- SNSでのブランドストーリーテリング:SNSで作品とデザインプロセスを定期的に共有
- ロゴやビジネスカードのデザイン:独自ブランドの視覚的アイデンティティを作成
3)新規顧客の獲得
新規顧客の獲得には、ネットワーキングとリファーラルマーケティングが効果的。 業界イベントへの参加やオンラインコミュニティへの積極的な参加を通じて、新たな顧客やコラボの機会を探しましょう。
- ネットワーキングイベントへの参加:業界会議、デザイン展示会、地域コミュニティイベント
- リファーラルプログラムの導入:既存の顧客に紹介インセンティブを提供
- オンラインコミュニティでの積極的な参加:LinkedIn、Behanceなどの関連グループへ参加
4)収入源を増やす
デザインの単価を上げるためには、高品質なカスタマイズサービスや、特定のニーズに特化したデザインパッケージの開発を検討しましょう。 デザイン教育コンテンツやテンプレートの販売も有効。
- カスタムデザインパッケージの提供:特定の業界やニーズに特化したパッケージ商品
- オンラインデザイン講座やチュートリアルの作成:自分のスキルを教育コンテンツとして販売
- プリセットデザインテンプレートの販売:CanvaやAdobe Spark用のテンプレート制作
5)マーケティングの強化
SNS広告やSEO対策を通じて、あなたのサービスの認知度を高める。 顧客とのコミュニケーションを強化し、フィードバックを活用してサービスを改善することも重要。
- ターゲット市場に合わせたSNS広告キャンペーン:InstagramやFacebookでの広告展開
- SEO最適化:検索エンジンで上位を獲得するためのサイト最適化
- 定期的メルマガ:最新作品、業界ニュース、特典提供などを通じて顧客との関係維持
AさんとBさん、同じのもあれば違うものもあるね。
同じものはそれだけフリーとして生きるには必須ってことだよ。
自分に合う市場の選び方
ここまでで法人向けフリーランスになりたいAさん、また個人向けフリーランスになりたいBさんの例を挙げましたが「そもそもどっちがいいのかわからない!」という方もいるのではないでしょうか。
私は個人→法人向けにシフトしたという経歴があるのでどちらも経験していますがどちらの市場を選ぶかで仕事内容が結構変わります。 より実力、結果が求められるのが法人で、 「あなたに依頼したい!」というブランド力が問われるのが個人市場です。
どちらが良い悪いではなく、自分に合う方を選んでください。
売上に影響するのは「実力」だけではなく認知度、いわゆる「ブランド力」というのも関係してきます。
コツコツとスキルを高めるのが向いているなら法人、 自分のファンを増やしてブランド力をつける方が向いているなら個人となるでしょう。
そして考えるときに重要なのは“どちらがやりたいか”ではなく”どちらができるか”です。 いくら好きなこと、やりたいことであっても利益にならなければフリーランスは続けられません。
そのために、フリーランス初期の段階では「できることを選ぶ」方がお金に繋がりやすいので◎です。
お金を十分に稼げない最初のうちから仕事を選ぶ=やりたいことだけやる、そんな余裕はありません。
今回のまとめ
今回はファーストクラスの方に必要な経営スキル「ポイント2:マーケティング」についてお伝えしてきました。
本記事のまとめはこちらです。
- 基本のマーケティングフレームを抑える
- PEST分析
- 5F分析
- SWOT分析
- 3C
- STP分析
- 4P
- 分析はChatGPTを利用すると便利!
- 法人or個人、どちらの市場を選ぶかは自分の特性で判断する
以前は自分たちで行なっていたマーケティングもAIを活用すればより早く、正確に行えるようになりました。もちろん100%の精度ではありませんしセキュリティ等の問題もありますが、うまく活用できるに越したことはありませんよね。
今回は自分自身のキャリアを考えるために利用しましたが、もちろん他テーマでも応用可能です。
是非どんな入力をすると、どのような出力結果が出るのか、色々試してみてください。